『良質性』が評価される市場に !?
中古住宅ストックの品質向上や維持管理、それらを前提とした評価や金融商品をパッケージにした仕組みの開発を促す、国土交通省の「良質な住宅ストックを形成する市場環境整備促進事業」が近く始動致します。中古住宅市場を活性化させるうえで避けて通れない住宅の「維持管理」と「適正評価」が定着する糸口となりますでしょうか?
同事業は、建築士や工務店、宅建業者、検査・履歴事業者、金融機関などの異業種で結成する団体が主体となる。それぞれの事業分野を生かしてリフォームやインスペクション・瑕疵保険・住宅履歴など、品質の向上や維持管理に必要なメニューを設定。これらを前提として流通や金融上のメリットを付与する金融商品などをつくり、一体的に提供を致します。
例えばリフォームを行い瑕疵保険に加入した上で、その後10年間における定期的なインスペクションや履歴の作成を確約し、適切に維持管理されることを担保として、当該住宅の購入時に、割引金利や融資可能枠の拡大といった金融上の措置を適用するイメージです。
補助額は、仕組みの開発・普及に係る費用が団体ごとに上限2000万円、リフォームなどのメニューに必要な費用が合計で戸当たり100万円。尚、住宅の新築も対象とし、その場合は長期優良住宅などの新築に必要な費用と、標準的な住宅に掛かる費用との差額を補助する。
売却フォローを重視
2006年の住生活基本法の施工を契機として、国は「 ”いいもの„ をつくり手入れをして長く大切に使う」、いわゆるストック重視の住宅政策に転換し、良質なストック形成を促すと共に、中古住宅の品質に対する不安を取り除き購入を後押しする施策を打ってきており、インスペクション・ガイドラインの制定や、瑕疵保険の制度化が該当する。
一方、ストックの流通を加速させて中古市場を盛り上げるには、購入だけでなく売却に対するフォローも必要で、売却時における障壁が「評価」にあたります。
日本の住宅市場では一般的に、木造住宅は築20~22年程度で市場価値がほぼゼロと評価される、住宅部分の価値が認められなければ残債が発生し住み替え原資の工面が難しいといった理由で住宅を売却したくても出来ない状態に陥ってしまう。良質なストックが形成されても、売却という ”出口„ が塞がっていては流通が促進されません。
こうした問題点の克服を目的とする同事業は、評価や金融面の仕掛けを肝とし、適切な維持管理を通じて、将来的に売却などするときまで資産としての価値を保っている状態を維持向上を目指していきます。
私見でありますが、欧米並みにストックの適正評価がされて、中古住宅が市場で多く取引されるようになる今後の"仕組み作り„ に大いに期待したいと思われます。