入居者がリフォームする、DIY型賃貸住宅

1.DIY型賃貸借とは?

※DIYとは、do it yourselfの略語で、一般的には自らの手で日曜

大工等を行うことですが、ここでのDIY工事とは、専門業者に

頼んで行う工事も含みます。

 

個人住宅を良好な状態で賃貸するためには、貸主(家主)が必要と

なる改修や管理・修繕等を行うことが一般的です。しかしながら、

貸主には改修費用を独自に負担することは難しいが現状のままであ

れば貸してもいいというニーズがある一方で、貸主(入居者)には自

分の好みの改修を行いたいというニーズがあります。こうした現状

を踏まえ、国土交通省では、工事費用の負担者が誰に関わらず、借

主の意向を反映して住宅の改修を行うことができる賃貸借契約やそ

の物件をDIY型賃貸借として定義し、その普及に努めています。

 

DIY型賃貸借

・賃貸借契約(賃料は相場より安め)

・貸主へのDIY工事の申請書

・借主へのDIY工事の承諾書

・DIY工事の詳細な取り決めに関する合意書

 

DIY型賃貸借の主なメリット

貸主のメリット

●現状の状態で賃貸でき、修繕の費用や手間がかからない

●借主がDIY工事を行うため愛着が生まれ長期入居が見込まれる

●明け渡し時に設備・内装がグレードアップしている可能性もある

借主のメリット

◆自分好みの改修ができ、持ち家感覚で居住できる

◆DIY工事費用を負担する分、相場より安く借りられる

◆DIY工事部分は原状回復義務をなしとすることもできる

 

2.DIY型賃貸借でできること

DIY型賃貸借でできる改修さまざまで、実現したい暮らしにあ

わせて、多種多様なものが考えられますが、例えばt棚を設置、押

入れを造作収納に変更、キッチン扉の変更、造作家具の設置、床・

壁・天井の素材の変更・戸襖の変更等色々なものが考えられます。

 

3.DIY型賃貸借契約の取込め事項のポイント

DIY型賃貸借の中でも、借主(又は借主が依頼した施工業者)が改修を行うこととする場合、貸主の所有物に手を加えることになりますので、工事内容や明け渡し時の現状回復の有無など、以下のような事項について予め決めておくことが、トラブルを回避する上で必要と考えられます。

所有権について

貸主の所有物にものを付けたり、一部を改修したりするため、工事部分に関する所有権が借主と貸主のどちらにあるのかを当事者間の合意により取り決めます。ただし、改修により住宅と一体となり、分離することが出来ない工事部分(壁にペンキを塗った場合等)は、その所有権は貸主が持つ事となります。

明渡し時の収去と現状回復について

工事部分について、明渡し時に残置するのか撤去するのか取り決める必要があります。残置する場合は、原状回復義務(工事前の状態に戻すこと)はなくなりますが、明渡し時に通常損耗や経年変化以外の事由により工事部分の補修が必要になっているなど、本来有する機能が失われている場合(新たに設置したガスコンロが動かないなど)において、補修を求めるかどうかも決めておく必要があります。撤去する場合は、原状回復の有無や、原状回復ありとするする場合は、どこまで現状回復を求めるかを決めておくことが望ましいと考えられます。

精算について

借主負担でDIY工事を行った場合には、貸主へ費用請求できる場合もありますが、DIY型賃貸借では、原状回復を免除したり、契約期間中の家賃を安く設定したりする代わりに、費用請求の権利を放棄する場合もみられます。そのため、トラブル回避の観点から、費用の清算の有無について予め定めておく事が必要です。

精算を行う場合は、残存価格の算定方法等貸主借主で予め話し合っておく事が望ましいものと考えられます。

施工について

DIY工事の際に住宅本体や第三者に損害を与えた場合の責任の所在は工事実施者又は発注者である借主がその責任を負います、トラブル回避のため求めがあった場合には工事前後の立ち会いや図面の確認を行うこととしています。

管理・修繕について

入居期間中の管理・修繕を誰が行うかも明確にする必要があります。DIY工事を行った者が管理・修繕を行うことが適当であると考えられることから、工事実施者又は発注者である借主が工事部分の管理・修繕を行います。

 

 

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